【民宿と民泊の違い】開業方法・設備・営業日数など両者の違いを解説
民宿と民泊はどちらも宿泊できることが共通していますが、開業方法や設備条件などに違いがあります。宿泊先を探す場合、もしくは民宿や民泊を開業したい場合にも、これらの違いを知っておけば行動しやすくなるでしょう。今回は両者の違いとメリット・デメリットを解説します。
1-1. 開業方法
民宿と民泊は開業方法が異なるため、手続き方法なども違います。
民宿は旅館業法が定める簡易宿所として、宿泊施設の1つになります。民宿を営業するためには施設のスタッフや設備など、旅館業法が定める規定を満たす必要があります。加えて、都道府県知事の許可を得ることも必要です。
また、民宿は郷土料理や家庭料理などの食事がつくことが多く、あたたかみあるおもてなしとともに、その地域の文化や土地柄などにも触れることができます。ホテルに比べて宿泊料金もリーズナブルな傾向です。
一方、民泊は一軒家やアパートなどの一室を有料で貸し出すことを指します。開業する際は旅館業法・特区民泊法・新民泊法のいずれかを選択して、各条件を満たし手続きします。3つの法律の中では、新民泊法がほかよりスピーディーに運営をスタートできることが特徴です。
なお、食事などの準備は必須ではなく、宿泊するための最低限の設備が整っていれば良いので、初期費用を抑えて始めることができます。
1-2. 設備条件
民宿と民泊は開業するにあたり法が定める規定を満たす設備が必要です。民宿は設備に関する規定が細かいため、場合によっては改修しなければならないケースもあるでしょう。
対して民泊は、宿泊に必要最低限の設備があれば法の基準を満たせるので、大がかりな改修などが必要ないケースが多いです。
1-3. 利用者との関わり方・常駐の有無
民宿は、宿そのものにオーナーが常駐していて、利用者に食事を提供して直接もてなします。地域によっては、その土地の農業や漁業などを体験できる場合もあります。
一方民泊は、一軒家やアパートなどの一室を有料で貸し出す運営方法なので、オーナーが常駐しないことも珍しくありません。食事などでもてなす必要もないので、利用者が素泊まりするようなイメージといえるでしょう。
2-1-1. 営業日数の上限がないため年間を通して運営できる
民宿は、旅館業法にあたる宿泊施設なので、営業日数の上限がありません。一般的なホテルなどと同じように年間を通して運営できる点がメリットです。
2-2-1. 稼働率の維持が難しい
民宿のデメリットとして、稼働率の維持が難しい点が挙げられます。民宿を行う立地や自然災害や景気の影響も受けやすいためです。民宿の多くは都心から離れた場所にあることが多く、交通の便が鉄道やバスなどに限られているケースもあります。
そのため、交通の便が良い都会の宿泊施設に比べると、集客しにくく稼働率を安定させることが難しい傾向があるでしょう。
2-2-2. 設備投資に費用がかかる
民宿は簡易宿所ではあるものの、旅館業法で定める中で設備を整えなければなりません。例えば、トイレを増設する、リネン庫の設置などが挙げられます。場合によっては電球の照度の調整が必要になることもあるなど、意外と細かいところまで指定されることもあります。
これらの設備投資に費用がかかる点はデメリットといえるでしょう。
2-2-3. 申請準備が煩雑
旅館業申請は、提出書類が多いのでやや煩雑な手続きになります。例えば、物件の平面図や立面図、用途変更の検査済証、給排水設備図などが挙げられ、これらを揃えるために書類自体を作り直すケースもあります。
3-1-1. 保有する空き家や空き部屋を活用できる
自身が保有する住宅の空き部屋や空き家を活用できることは、民泊の最大のメリットです。住宅は、維持するにも取り壊すにしても費用がかかるので、空き家や空き部屋を放置しておくほど負担が大きくなります。
その住宅を民泊施設にすることで、収入を得られるようになり、維持費に貢献することもできるでしょう。
3-1-2. 大きな設備投資は必要ない
家主が居住する形で民泊を運用する際は、消防設備に関する基準が緩和されます。そのため、大がかりな設備投資の必要がありません。宿泊に必要なアメニティや備品・寝具などを揃える程度でOKです。
3-1-3. 都会や観光地なら集客しやすい
民泊運営をする場所が都会や観光地なら、比較的集客しやすい点もメリットです。集客のためにグローバル対応のサイトに登録しておけば、国内外から利用者を集められるでしょう。
3-2-1. 宿泊料金が低い
民泊は宿泊に必要な最低限のサービスであることから、1泊あたりの料金が安く設定されていることが多いです。そのため、高収入が期待できない可能性もあります。年間を通して限られた営業日数であることも、高収入につながりにくい部分でしょう。
3-2-2. 年間180日しか運営できない
民泊新法では、年間180日までの運営日数と定めています。そのため、収益につながりそうなシーズンなどを分析して、戦略的に集客をする必要があります。年間を通して運営できる民宿と比べると、大きなウィークポイントと言えるでしょう。
3-2-3. 備品の破損の恐れ
民泊の利用者は日本人だけでなく外国人であることも多いです。そのため、自宅の備品の使い方がわからず壊してしまうことも考えられます。特に、日本製の家電などを誤って破損させるといったことには注意が必要です。